GISアプリケーションでは、複数のレイヤーを重ねて作業することができますが、そのレイヤーはある一つの目的のためのデータを保持することを想定しています。例えば、河川や土地利用などは別々のレイヤーとすれば、それぞれに固有の属性を与えられて、合理的な整理が可能になります。これらはそれぞれの目的を持った独立した地図としてとらえることができ、主題図と呼ばれます。ところで、この”レイヤー”の呼び方はGISアプリケーションごとに統一されていません。例えば、”レイヤー”、”カバレッジ”、”オーバーレイ”、”テーマ”などがあります。NK-GIASではこの中の”テーマ”という呼称を用いることとしました。これは各レイヤーは主題図であるという解釈から選定したものです。
NK-GIASでは7種類のテーマを扱って、様々なデータに対応することができます。点・線・面(多角形)あるいはポイント・ライン・ポリゴンの総称をフィーチャーと呼びますが、これらはいわゆるベクトルデータとしてフィーチャーテーマで保存することができます。地図画像25000などの市販の地図画像や地図をスキャナーで電子化したものは画像テーマとして扱えます。等間隔に分布した格子上のデータについてはグリッドテーマで扱えます。また、複数のグリッドテーマをひとつのテーマとして扱えるのが拡張グリッドテーマ、時系列グリッドテーマです。そして、テーマに登録された属性をもとに地図上に表示する注釈などのラベルは注釈テーマとして保存することができます。
テーマの 種類 |
内包する データ |
概要 |
地図投影 |
編集 |
フィーチャーテーマ |
ポイント(点)、ライン(線)、ポリゴン(面・多角形) |
・点・線・面の総称をフィーチャーという。これらをベクトルデータで記述し、属性を持つテーマである。 ・属性(文字列、整数、実数)は複数設定できる。 ・一つのフィーチャーテーマの中には点・線・面が混在することは出来ない。 |
対応 |
可 |
グリッドテーマ |
グリッド(格子) |
・ある座標系において長方形の範囲をタテ・ヨコ方向にそれぞれ等間隔に区切られた格子(グリッド)を設定し、各格子点に値を持たせたもの。 ・一種類の値を持つことが出来る。 |
非対応 |
可 |
拡張グリッドテーマ |
複数のグリッドテーマ |
・複数のグリッドテーマをグルーピングしたもの。 ・含まれる個々のグリッドテーマは構成グリッドと呼ぶ。 ・各構成グリッドには、時刻・整数値・文字列のいずれかのタグを持たせることができる。 ・時刻タグを持つものはマップ時刻コントロールを用いて任意時刻の状態を表示させることができる。この際、拡張グリッドテーマ毎に設定する時刻タグの波及が参照される。 ・構成グリッドの追加・削除・編集が可能である。 |
非対応 |
可 |
時系列グリッドテーマ |
時間軸を有する複数のグリッドテーマ |
・GrADSファイルなどの時間軸を有するグリッドデータファイルを表示するためのテーマである。 ・拡張グリッドテーマとは異なり、内包される構成グリッドの追加・削除・編集はできない。 ・時刻タグを有する拡張グリッドテーマと同様、マップ時刻コントロールを用いて任意時刻の状態を表示させることができる。 |
非対応 |
不可 |
画像テーマ |
画像 |
・画像に位置情報を持たせたもの。 ・属性などの情報は持たない。 |
対応 |
不可 |
拡張画像テーマ |
グリッドへ変換可能な画像 |
・画像ファイル形式や巨大なグリッドファイルで提供されるデータはグリッドテーマとして読み込むと著しく作業効率を下げることから、画像とグリッドの中間的なものとして設定したテーマである。 ・一部をとりだしてグリッドテーマに変換することができる。 |
対応 |
不可 |
注釈テーマ |
注釈(文字や数値のラベル) |
・フィーチャーテーマの属性などをラベルとしてマップ上に配置したもの。 ・属性情報は持たない。 |
対応 |
可 |